新農住コミュニティ【縁道編】
増木工業の分譲プロジェクト「新農住コミュニティ野火止台」には縁道と呼ばれる小道があります。
今回は縁道の誕生についてのお話です。
1. 縁道とは
江戸時代の「縁側」は、住居の内部と外部をつなぐ中間の領域であり、通りすがりの人がふと立ち寄ったり、
親しい客が座り込んで話に花を咲かせたりする社交スペースだったそうです。
内でも外でもない場所では、互いの関係性にこだわることなく、同じ目線で気軽なコミュニケーションを取りながら、
程よい距離感の関係を維持することができたようです。
農住コミュニティには基本理念「近助の心」があります。
「近助の心」は、隣近所との程よい距離感を維持することで育まれると考えました。
そこで、社交スペースとしての縁側と人と人とを結ぶ縁(えん)の意味を併せ持つ、
『縁道』(えんどう)という名が付きました。
2. 新農住コミュニティ野火止台の縁道
新農住コミュニティの縁道は幅1.2m。
下町の路地裏のような雰囲気が出るようにしたい、
子どもたちが走り回り、自然と会話が広がるような道にしたいと思い設計しました。
歩く楽しさを感じることが出来る道になるように、曲がりくねった道の両側には四季折々の植物を植え、
見え隠れする景色の先には共用畑が広がるように計画しました。
6mの開発道路は車が通行する道、縁道は歩行者専用の道として、
歩車分離(歩行者の安全の為、車道と歩行者道を分離した計画)をしています。
通常は、車が出入りする道路側をメインの出入口と考えますが、
縁道側をメインの出入口と考えているので、全ての住戸の玄関が縁道に近い位置に配置されています。
住戸の窓も縁道に向かって開かれるように計画しました。
子どもたちの声が響き、住民の方が縁道に向かって椅子を置いて、
ここが古くて新しい社交スペースとなってほしいと願っています。
3. 縁道に息を吹き込んだ植栽
縁道の植栽デザインは、ボスケデザイン中野万里さんです。
ご主人は建築家であり、彼らとは旧知の仲です。
このプロジェクトには彼らが必要だと感じ、早い段階からプロジェクトに加わってもらいました。
私の期待通り、次々と想像を超える提案をしてくれました。
植栽の選定は中野さんにお任せしたところ、コンセプトの「実のりある暮らし」に合わせて、
ブルーベリー・ビルベリー・果樹などたくさんの実のなる植物を選定してくれました。
タイトな作業工程の中で、施工を担当していただいた飯倉園さんのご協力により無事完成することが出来ました。
施工は冬の直前で葉が茂っていない状態でしたが、春が近づくと次々と花を咲かせ葉を茂らせ、
季節の移り変わりを植栽で感じられるようです。
植物は生きている。生きているから大きくなるし虫も寄ってくる。
当たり前のことだけれど、忘れていた大切なことをこの植栽に教えてもらったような気がします。
見え隠れする景色と季節を感じられる植栽。ここへ来ると不思議と豊かな気持ちになることが出来ます。
皆様も是非こちらへ足を運んで、この不思議な空間をご体感下さい。